作業療法士を目指す学生は、実際に働いている作業療法士の本音が気になりますよね。
作業療法士は、患者とのリハビリを通して信頼関係を築き、回復を一緒に共有できるやりがいのある仕事です。
しかし、作業療法士は1日に何人もの患者のリハビリしたり書類整理が多いなど、かなりハードな仕事でもあります。
この記事では新卒者に人気のある病院での仕事内容を例に挙げ、作業療法士の本音を解説します。
作業療法士になる学生や、すでに作業療法士として勤務しているが転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
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作業療法士はどんな仕事をするの?
日本作業療法士協会では、作業療法士を以下のように定義しています。
作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。
同じリハビリ職種である理学療法士(PT)は立つ・歩くといった基本的な動作にアプローチします。
一方で作業療法士は「目的や価値を持つ生活行為」にアプローチしていくため、料理や洗濯、そして趣味や習慣まで幅広い動作や行為がふたたびできるようにリハビリを行っていきます。
また、上肢(腕や指)のリハビリは作業療法士が担当、歩く・立つなどの基本動作は理学療法士が担当するといった振り分けをしている病院もあります。
作業療法士【OT】の1日の流れ
作業療法士の具体的な仕事内容を紹介します。
作業療法士は8時半から17時半までの8時間勤務が基本です。一日の流れを詳しく解説していきます。
朝の出勤時間
作業療法士のほとんどは朝8時30分~朝9時に出勤します。
回復期病院は着替えや朝食の生活リハビリを行うため、7時~7時半に出勤することもります。
独身であれば問題なく出勤できる時間帯ですが、子供を保育園に送って出勤する方は少し厳しいかもしれません。
病院は基本的にスタッフ全員が同じ時刻に出勤するため、「私は子供がいるので9時半出勤にしてください。」といった融通がきかない職場ほとんど。
なお、勤務時間の長さは介護施設の方が交渉できることが多いです。子供がいて時短勤務をしたいなら介護施設がおすすめ。介護施設への転職方法はこちらの記事で紹介しています。
朝のミーティング
朝はリハビリ室でミーティングを行います。
同じリハビリ職の理学療法士(PT)と言語聴覚士(ST)と合同でミーティングを実施。伝達事項やスタッフの出欠状況などを共有します。病院の理念を唱和する職場もあります。
その後は作業療法士だけでミーティングがあったり、看護師や介護士と病棟単位でのミーティングがあります。ここでは患者の情報共有や今日の流れなどを話し合います。
作業療法士の朝はミーティングが連続。短い時間で多くの情報を覚えておく必要があるので、朝から頭をフル回転させて仕事をします。
リハビリ業務(臨床)
出勤後、30分ほどでミーティングを終えたらリハビリ業務がスタートします。
病院では基本的に20分1単位という単位制でリハビリを行います。1人の患者につき1~3単位のリハビリを行います。
回復期病院では1人あたり3単位をとることが多く、急性期や維持期では1人あたり1~2単位。回復期病院は少ない患者数を長くリハビリし、急性期や維持期では多数の患者に短い時間のリハビリを行っていきます。
午前中は単位の取得漏れをなくすために次々とリハビリをしていくのでかなり忙しいです。突然の会議や家族説明が入っても単位は取らないとといけないので、予定の単位数を取れるのか焦りながら仕事をしていきます。
リハビリ業務が忙しいかどうかはスタッフ数と患者数によって決まります。患者数に対してスタッフが多ければ単位が取れないので「暇でやることない」という時期もありました。
昼休憩はゆっくり休める?
12~13時からは昼休憩になります。休憩時間は短い職場で45分、長い職場では90分の休憩時間がある職場もあります。
患者も昼食へ行くので「リハビリが長引いて食事がとれない」ということはありませんが、書類業務が終わってなければ昼休憩に書類を書くこともあります。
リハビリ室にはベッドがあるので昼寝ができる職場もあります。かなり恵まれていますね。
しかし、昼休憩中に上司がずっと仕事の話をしてくる職場もあり、病院によって昼休憩の過ごし方はさまざまです。
臨床後の仕事は書類業務
リハビリ業務が終わったら書類業務をやります。
リハビリ職はとても書類が多く、計画的にやらないとどんどん書類が溜まっていきます。
早めにリハビリ業務が終われば終業時間までに書類を終わらせて定時に帰れます。その日にやらないといけない書類が終わらなければ残業になります。
委員会・勉強会・休日出勤
書類業務の他に委員会に所属していれば会議や活動に参加します。
病院には感染対策委員会や褥瘡対策委員会、予防医療啓発やイベント企画などさまざまな委員会があります。
委員会活動は業務時間外に行うことが多く、会議や活動が長引けば残業になります。
私が勤めていた病院では委員会活動の残業代が出ましたが、いまだに残業代を出さない職場の多いことが現状です。
作業療法士の仕事の本音
私は病院を含めて4カ所の職場で働いた経験があります。
そこで感じた本音は大きく3つありました。
- 仕事量と給料が釣り合っていない
- マジで残業が多い
- 仕事のやりがいはあった
作業療法士の仕事は良いところもあれば、悪いところもありました。実際の作業療法士が話してくれない本音をぶっちゃけていきますね。
給料が安いが仕事はきつい
私が就職した頃はすでに作業療法士の供給が飽和している状態だったので年収400万円以上の求人はほとんどありませんでした。
特に介護分野は介護職員と同じレベルしか出ない職場も多くあります。
その反面、単位数のノルマや毎日のような残業、人間関係のストレスから仕事量と給料が釣り合っていないと感じています。
労働時間が長い(残業・勉強会)
日々の残業はもちろん、終業後の勉強会や研修といった業務として扱っていない仕事のせいでかなり労働時間が長いです。
とくにきつかったのが公休日である日曜日に外部研修会や学会参加をしないといけないことでした。
ひどいときには土日連続で研修が入り、休みをとっていない状態で翌週が始まるという状況もよくありましたね。
仕事のやりがいを感じる
作業療法士の仕事はきついですが、やりがいをすごく感じる職業です。
患者が回復して退院されると心から本当に嬉しく、充実感を感じて仕事ができます。
作業療法士は患者や家族から「ありがとう」と言われる仕事です。どんなに仕事がきつくても仕事をやめない人が多いのは感謝をされるからだと思います。
作業療法士は合う・合わないがはっきり分かれる仕事
作業療法士の仕事内容をざっくりと紹介してきましたが、あなたはこの仕事ができそうですか?
作業療法士は合う人・合わない人がいます。
作業療法士に合う人
- 人と話すのが好き
- お金よりもやりがいが大切
- 職人気質で技術を極めたい
- 体力に自信がある
- プライベートも仕事中心でいたい
作業療法士に合わない人
- 利益を追い求めたい
- 人と話すのが苦手
- 医学や身体に興味がない
- 体力や体調に自信がない
- プライベートな時間も大切にしたい
作業療法士だけでなく、資格がある仕事はその分野に興味がないと本当にきついです。身体の機能や医療に興味があるのなら作業療法士を目指してみてくださいね!
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