作業療法士(OT)は数年前までは医療系資格の中でも高収入として人気の職業でした。
最近では作業療法士の求人を探しても月収20万円前後、年収では400万円以下の案件がほとんど。手取りで20万円以上の求人はかなり少ないです。
作業療法士は医療職の中でも給料が上がりにくい職種です。
「今の給料がずっと続けばいい」という方は満足できるかもしれませんが、収入面で将来に不安があるなら今すぐに行動に移すべきでしょう。
この記事では作業療法士の給料が安い理由や給料を上げるための対策を解説します。
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作業療法士【OT】の給料が安い3つの理由
作業療法士の給料や昇給が安いことには3つの理由があります。
- 需要と供給バランスのが崩れた
- 経験を積んでも利益が上がらない
- 看護・介護の不足が深刻
養成校乱立により資格をもつ人材が増えた
10~15年前から作業療法士の資格を取得するための養成校は全国的に増加しました。
養成校に入学するための難易度も徐々に簡単になり、名前を書いて入学金を収めれば誰でも入学できてしまうという状況にまで悪化。
その結果、作業療法士の資格をもつ人材が急激に増えたことから安い給料でも作業療法士が集まるようになりました。
そのため、全国的に給料の水準が安くなってしまったという事態になったのです。
作業療法士は経験を積んでも利益が上がらない
作業療法士は診療報酬や介護報酬という規定のなかで決められた金額しか利益を生み出すことはできません。
作業療法士はリハビリを提供する時間単位で収入が発生します。つまり、1年目の作業療法士と10年目の作業療法士が稼ぐ金額は同じなので給料は上がりにくくなります。
30年目のベテランOTも1年目の新人も1日に取得できる単位は同じ。臨床経験を積んだからといって利益が上がるわけではありません。
たとえば、医師や看護師はひとつの処置をすれば報酬を算定できます。短い時間で完了する処置であれば、1時間以内に何度も報酬を算定できますよね。
一方で作業療法士は提供時間で報酬が決まっているため、どれだけ頑張っても1時間では20分×3単位しか算定できません。
作業療法士よりも看護師・介護職員の人材不足が深刻
病院や介護施設では看護師・介護士の人材不足がかなり深刻化しています。肉体労働に加えて夜勤もある看護師・介護士は人の入れ替わりが多く、なかなか職場に定着してくれません。
病院・介護施設は作業療法士や理学療法士といったリハビリ職よりも看護・介護を担当する看護師・介護士に人件費を投入したいと考えます。
看護・介護スタッフがいないと患者の生活が成り立ちませんよね。
とくに介護施設ではリハビリスタッフがいなくても看護・介護スタッフさえ居れば経営が成り立つので作業療法士の給料が安めに設定されている場合がほとんどなのです。
名称独占だから職域を奪われやすい
作業療法士という資格は名称独占です。そのため、作業療法士以外の資格でもリハビリ業務できるため、給料が上がりにくい原因となっています。
たとえば、デイサービスの機能訓練員は作業療法士だけでなく看護師や柔道整復師でも算定できます。看護師は看護職員として配置できるため、同じ給料なら看護師を採用しますよね。
訪問看護ステーションなら看護師がリハビリをしても問題ありません。
世間では作業療法士=マッサージをする人というイメージがあり、「マッサージなら看護師がしてもいいやん。」という認識から作業療法士の必要性は低くなっています。
業務独占と名称独占
業務独占は、資格をもっていれば独占して仕事を行えます。医師、看護師などが該当します。一方で名称独占は勝手にその名称を名乗ってはいけないが、仕事は誰でも実施して問題ありません。
「作業療法士は将来性がある!」と言ってるのはベテラン層だけ
作業療法士は将来性がある!と発信されている方がいますが、それは安定した給料を貰っているベテラン層だけです。
20年前は作業療法士の数が少なく、年収500万円以上は当たり前の時代でした。その頃に就職し、順調に昇給している作業療法士は現状に満足しているでしょうね。
作業療法士のハローワーク求人情報を定期的に確認すれば現状がみえくるのですが、10年前に比べて給料の水準が安くなっており、また求人数もかなり少なくなっています。
新卒で給料の低い職場に就職してしまったり、一度でも転職をしてしまうと年収400万円に達することすらも難しいでしょう。
今の給料に不満があったり、昇給が期待できないなら、自分でなにか行動を起こす必要があります。
作業療法士【OT】が収入をアップさせるためにできること
作業療法士が収入をアップさせるためにできることをまとめました。収入を上げるには4つの方法があります。
- 今いる職場で上を目指す
- 給料の高い職場へ転職
- 作業療法士以外の違う業界へ転職
- 副業収入を得る
今の職場で役職を目指す
科長や主任といった役職に就くことができれば役職手当貰え、また肉体労働から離れることができます。定年まで今の職場に残る覚悟があるなら、役職を目指すべきでしょう。
しかし、役職を目指す前に役職の報酬はいくらなのかを確認しておきましょう。
主任クラスなら1~2万円、科長なら5万円程度の役職報酬が平均です。
役職に就けば臨床という肉体労働からは離れることができますが、スタッフのマネジメントや他部署との連携、トラブルの責任をとるなどの精神的な重圧が大きくのしかかります。
また、家族経営の小規模な介護施設や小さな個人クリニックの役職に就いても、その会社が倒産すればせっかく考えたキャリアプランは崩壊してしまいます。役職を目指すのなら、倒産する可能性の低い大病院や大手企業が運営する介護施設である必要があります。
もし、あなたが役職を目指すのであれば以下3つは必ず確認しておいてください。
- 会社の経営は安定しているか
- 役職手当・昇給はいくらか
- 同期に自分より優秀な人間がいないか
自分が役職を狙っていても、同期や自分の年齢に近い作業療法士に優秀な人間がいるのなら、あなたは役職に就けません。もちろん努力次第ですが、このままの働きで自分は役職に就けるのかを考えてみてください。
給料の高い会社へ転職
作業療法士の給料は、利益の出やすい業態の方が高収入の求人があります。
一般的な給料水準は以下の通り。
- 訪問リハビリ▶単価が高いので作業療法士の給料は高め。
- デイサービスや老人保健施設▶利益が出にくいので給料は低め。
- 病院・クリニック▶その会社によって給料の違いが大きい。
あくまでも一般的な給与水準であって、最近では訪問リハビリでも手取りが20万円に届かない求人もあります。
良い条件の求人に出会えるかタイミングがすべてです。
自宅から通える範囲の求人を定期的にチェックして、良い求人を見つけることができれば給料アップのチャンスがあります。
作業療法士以外の違う業界へ転職
作業療法士が働く医療・介護・福祉分野以外のまったく違う業界へ転職することも給料を上げるために有効な手段です。
最近では作業療法士の資格を取得したのに、まったく別の業界に取得する新卒者が増えています。
私の知り合いでは飲食業に転職して独立開業を目指している方やアパレルや美容業界に転職した女性もいました。
「資格は取得したけど、これほど給料が安いとは思わなかった」というケースが多いようです。
すでに臨床経験を積んでる作業療法士でも、別業界への転職はアリだと思います。
まずはどんな求人があるのか調べてみることが給料アップへの第一歩。自分にはどんな選択肢があるのかを知ることから始めてください。
副業する
作業療法士として働きながら副業収入を得て自分の総収入を上げていくのも有効な手段です。
働きながらできる副業はたくさんありますが人気の副業はこちら。
- クラウドソーシング
- 転売(メルカリ・ヤフオク・Amazon)
- 動画製作(YouTuber)
- ネットでサイトを立ち上げる(アフィリエイト)
- イベント開催
- プログラミング
もっとも簡単で今すぐできるのはクラウドソーシング。
クラウドソーシングではさまざまな案件が紹介されていますが、記事を書くだけで収入があるライティングは作業療法士でもできる副業です。
また、ココナラというサービスでは自分の特技をコンテンツとして販売できます。
どんなコンテンツが売れているのかを見るだけでも「これって自分でもやれそう!」というアイデアを思いつくかもしれません。
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【まとめ】作業療法士が安定した収入を稼ぐためにやるべきこと
「このまま作業療法士として働いて大丈夫かな」という不安は誰でもあります。
将来に不安を感じている原因はなんとなく臨床をこなして毎日を過ごしてるからではないですか?
まずは自分の給料を上げるために今できることから始めてみましょう。
- 自分が役職に就けるのか考える
- 転職サイトに登録して求人情報を得ておく
- 自分のできる副業を探す
転職サイトはわざわざハローワークなどの求人サイトを見なくても新しい求人情報が入ったらいち早くお知らせしてくれる便利なツール。
作業療法士の求人、別業界の求人の両方とも登録しておいて、選択肢を増やしておくことが給料アップには大切です。