作業療法士の国家試験は毎年2月末に実施されます。
作業療法士を目指す学生にとっては資格を取得するための最終関門ですが、残念ながらどの養成校もクラスに2~3人は国家試験に不合格になります。
もし国家試験に落ちた場合は来年に再受験するか、作業療法士を諦めて就職活動するのかを選ばなければなりません。
この記事では国家試験に落ちた場合、どのような流れをで再試験・就職活動をするのか解説します。
①自己採点で不合格なら内定先を辞退
作業療法士は国家試験を受ける前にほとんどの学生が就職先の内定をもらいます。
国家試験の合格発表は3月末になるため、試験直後の自己採点で合格点に届かないのであれば内定先に自己採点に届かなかったことを連絡することになります。
合格点にギリギリ届かないのであれば、不適切問題などで加算されて合格になることがありますが、10点以上不足しているのなら合格は難しいため正式な合格発表を待たずに内定辞退することが多いです。
内定先の病院や施設に直接謝りに行かないといけないので、かなり気まずいことは言うまでもありません…
②養成校の卒業式を迎える
実は国家試験に落ちたとしても、養成校の卒業試験に合格していれば、養成校は卒業することができます。
卒業式は3月の始めに行われることが多く、もちろん国家試験の合格者と一緒に卒業式を迎えます。卒業式もつらい思いをすることになります。中には卒業式には出席しない不合格者もいました。
合格者は卒業旅行だったり、一人暮らしに向けての話だったりと今後に向けての明るい話が中心。話が合わないことが多くなるのでクラスの仲間とは徐々に疎遠にはなりますね。
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③面談で今後の進路を決める
卒業式の前後で今後の進路を決める面談を繰り返します。
面談は先生と自分。学費を親が負担しているのなら親も出席して3者面談になります。
ここで来年も再受験するのか、諦めて一般職での就職活動をするのかを選択します。
初めて国家試験を受けて落ちたのなら、ほとんどの人は来年は再受験を選びますね。
2回以上落ち続けたのなら、作業療法士は諦めて就職活動に切り替える方が多いようです。運良く合格できても何回受験したのかは履歴書を見ればバレるため、就職では圧倒的に不利になります。
また、作業療法士として数年働いた後に転職活動しても、国家試験に不合格だった過去があることで不採用になることもあります。
1度でも不合格になれば作業療法士としてのキャリアにずっと残り続けるため、作業療法士以外の道を選ぶことも正解だと思います。
④再受験するなら1年間はバイト生活
作業療法士の試験は1年に1回だけなので、来年の試験まではやることがありません。
勉強は続けていきますが、試験まであと1年もあるのでとりあえずはアルバイトをして生活をつなぐ人が多いようです。
以前はリハビリ助手として国家試験に不合格だった学生を雇ってくれる病院や施設がありました。最近は作業療法士が飽和していることから学生を雇ってくれる求人案件はありません。
コンビニなどのアルバイトや介護職員のパートで働くことになります。
養成校は卒業しているため、基本的には授業に出席することはできません。
ただ、養成校の恩意で国家試験の2~3ヶ月前からは受験対策に参加させてくれます。年下の現役生と一緒に勉強することになるので気まずいですが…
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⑤作業療法士を諦めて就職する
再受験をせずに一般職へ就職する場合はハローワーク等で求人を探すことになります。
作業療法士の国家試験に落ちた人は介護や福祉関係に就職する人が多いようです。
- 介護職員
- 障害者施設の職員
- 福祉用具のレンタル・販売業者
- 医療事務
養成校には基本的に作業療法士の求人案件しかありませんが、病院や介護施設とのつながりがあるので、介護職員や医療事務などの求人は紹介してもらえます。
介護職員はどの地域でも募集しているので、就職ができないという事態はまずありません。何かの仕事に就くことは可能です。
しかし、ハローワークやネット情報などの一般募集では給料の高い求人は少ない傾向にあります。養成校だけに出しているクローズ案件がないか聞いてみてください。
【まとめ】これから国家試験を受験される人へ
作業療法士の国家試験に落ちると悲惨な1年間を過ごすことになります。
再受験で運良く合格しても周囲から「あの人は1度、国家試験落ちてるから」と非難されることもあります。
この記事を読んでくれた方がこれから国家試験を受験するのなら、不合格なら大変なことになると思って全力で勉強してください。
再受験を繰り返しているのなら作業療法士以外の道を進むこともアリだと思います。市場にどんな求人があるのか、国家試験に合格しても自分を採用してくれる求人はあるのかを考えてみてください。